高血圧
高血圧の診断基準
- ● Ⅰ度高血圧:140/90mmHg以上
- ● Ⅱ度高血圧:160/100mmHg以上
- ● Ⅲ度高血圧:180/110mmHg以上
収縮期血圧とは心臓が血液を送り出した圧で、いわゆる「上の血圧」です。拡張期血圧は心臓が返ってきた血液を取り込む瞬間での圧で、いわゆる「下の血圧」です。つまり最高血圧=収縮血圧、最低血圧=拡張期血圧となります。
最高血圧が120以下、最低血圧が80以下であれば正常血圧と診断されます。最高血圧が140以上、最低血圧が90以上のどちらかを満たせば、高血圧の可能性があります。
高血圧は生活習慣病のひとつとして、動脈硬化の可能性を高めます。結果として、脳や心臓といった重要な血管のトラブルにつながることがあります。
また、急激に血圧が上昇すると以下のような高血圧緊急症といわれる症状が引き起こされることもあります。
- ●頭痛
- ●食べ過ぎ、運動不足である
- ●吐き気
- ●動悸
- ●意識障害
また、血管が痛むと以下の症状を引き起こします。
- 1.動脈硬化(血圧を受け続けることで血管が固くなります)
- 2.動脈瘤(高い圧を受け続けた部位がコブのようになります)
- 3.動脈解離(高い圧を受けた血管が割けてしまいます)
②・③は致命傷になるため、場合によっては手術が必要となる可能性があります。頻度が高いのが①の動脈硬化です。
動脈硬化が起きると、以下ような症状が引き起こされます。
- ●血管が破れる
- ●血管が詰まる
- ●血管が狭くなり栄養や酸素が十分にいかない
血管は全身を駆け巡っており、血管の障害は、全ての臓器に影響してしまいます。
特に障害が出やすいのは、以下です。
- 1.心臓(心不全、心筋梗塞、狭心症)
- 2.脳(脳出血、脳梗塞)
- 3.腎臓(高血圧性腎不全)
特に①心臓②脳への障害は突然発症します。発症した際は死に至る可能性もあります。一命をとりとめた場合も、後遺症が残る可能性が高いです。
これらの病気が発症してから高血圧を治療し始めても、動脈硬化の悪化は防げますが、動脈硬化の改善にはつながりません。つまり高血圧を早期に治療しないと、固まってしまった血管が元の状態に戻らなくなる恐ろしい病気です。
高血圧は心臓に大きな影響があるため以下のような検査を行います。
- ●胸部レントゲン写真:心臓の大きさと供水の有無を確認
- ●心電図:不整脈の有無を確認
- ●心エコー:心臓の動きを確認
なお、高血圧の治療方針は、血圧の数値だけで決定するわけではありません。
軽症高血圧 140-159/90-99mmHg |
中等度高血圧 160-179/100-109mmHg |
重度高血圧 ≧180/≧110mmHg |
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リスク大1層 ・危険要因0 |
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リスク大2層 ・1?2個の危険因子 |
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リスク大3層 ・3個以上の危険因子 ・一発アウト因子 |
薬による治療開始の時期を、リスクを踏まえて決定しています。
なお、血圧は下げれば下げるほど良いというわけではありません。血圧を下げすぎると以下のような症状が引き起こされます。
- ● めまい
- ● 気分不快
- ● 食思不振
- ● 失神
また急激に血圧を下げすぎると血管が逆に詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞が起きやすいとされています。
当院では、以下のことを考慮し、患者さんごとに適切な治療を検討しています。
- ●年齢
- ●血圧の実際の値
- ●今までの大きな病気
- ●現在の症状
- ●採血やレントゲンなどの検査結果
またひとつの薬で高血圧の改善が見込めなければ薬を追加していくのではなく、合剤に切り替えるなど柔軟に対応しております。